現在、dekinaiではRaspberry Pi 4を活用してますが非力により増強を考えました。その上で、2026年に購入するとしたらのスペック比較をした記事になります。
2026 年現在、シングルボードコンピュータ(SBC)市場は過去にないほど多様化しています。Raspberry Pi 5 を筆頭に、Radxa ROCK 5B+、Orange Pi 5 Plus、そして NVIDIA Jetson Orin Nano Super といった高性能ボードが次々と登場し、用途に応じて最適な選択が求められるようになりました。
これら 4 機種の主要 SBC をスペック・ベンチマーク・価格の 3 軸で徹底比較。エッジ AI 開発から汎用 Linux デスクトップ、ホビープロジェクトまで、あなたの用途に最適なボードを選べるよう、実測データに基づいた詳細な分析をしてみました。
この記事で分かること
- 4 機種の CPU・GPU・NPU 性能を Geekbench 6 と AI TOPS で比較した実測データ
- LLM 推論速度(tok/s)と NVMe ストレージ性能の実用ベンチマーク
- 価格対性能比(Score/ドル)から見るコストパフォーマンスの真実
- 用途別(エッジ AI・Linux デスクトップ・ホビー)の最適なボード選定ガイド
- 2026 年現在の価格・在庫状況と購入時の注意点
4 機種の基本スペック比較
スペック比較表(性能順:左→右 低→高)
| 項目 | Raspberry Pi 5 | Orange Pi 5 Plus | Radxa ROCK 5B+ | Jetson Orin Nano Super |
|---|---|---|---|---|
| SoC | Broadcom BCM2712 | Rockchip RK3588 | Rockchip RK3588 | NVIDIA Orin Nano (Super) |
| CPU | 4× A76 @ 2.4GHz | 4× A76 @ 2.4GHz + 4× A55 @ 1.8GHz | 4× A76 @ 2.4GHz + 4× A55 @ 1.8GHz | 6× A78AE @ 1.7GHz |
| GPU | VideoCore VII 800MHz | Mali-G610 MP4 | Mali-G610 MP4 | 1024-core Ampere + 32 Tensor コア |
| NPU / AI | なし (CPU のみ) | 6 TOPS (Rockchip NPU 3.0) | 6 TOPS (Rockchip NPU 3.0) | 67 INT8 TOPS (Sparse) / 33 TOPS (Dense) |
| メモリ | 2/4/8/16GB LPDDR4X | 8/16/32GB LPDDR4X/LPDDR5 | 8/16/32GB LPDDR5 | 8GB LPDDR5 (102 GB/s) |
| ストレージ | PCIe 2.0 x1 (HAT) + microSD | M.2 NVMe (E/M キー) + eMMC + microSD | M.2 2280 NVMe (PCIe 3.0 x4) + eMMC + microSD | M.2 NVMe (外部) + SD カード |
| ネットワーク | 1GbE + Wi-Fi 5 + BT 5.0 | デュアル 2.5GbE | デュアル 2.5GbE | 1GbE |
| 映像出力 | デュアル 4Kp60 Micro HDMI | デュアル HDMI 2.1 + HDMI 入力 | デュアル HDMI 2.1 (8K@60 + 4K@60) | DisplayPort + HDMI |
| 消費電力 | 2.4W (アイドル) / 7.1W (最大) | 約 5-10W 範囲 | 3.2W (アイドル) / 9.4W (最大) | 7W / 15W / 25W (MAXN Super) |
| 価格 (目安) | $60-80 (4-8GB) / $199 (キット) | $100-135 (8GB) | $130-160 (16GB) | $249 (DevKit) |
| 主な用途 | 教育、ホビー、汎用 Linux、IoT | 汎用 SBC、メディア、ビジョンビルド | 汎用 Linux デスクトップ、ビジョン実験、ストレージ集約 | ロボティクス、エッジ AI、LLM 推論 |
各ボードの特徴
Raspberry Pi 5:最も成熟したエコシステム
Raspberry Pi 5 は Broadcom 製 BCM2712 SoC(4 コア Cortex-A76 @ 2.4GHz)と VideoCore VII GPU を搭載。前世代の Pi 4 から CPU・GPU 性能が 2-3 倍に向上し、独自開発の I/O コントローラー「RP1」により PCIe 2.0 x1 経由での NVMe ブートが可能になりました。
最大の強みは、Raspberry Pi OS を中心とした成熟したソフトウェアエコシステムと、世界中のコミュニティによる豊富なライブラリ・チュートリアルです。教育・ホビー・汎用 Linux 用途で最も安心できる選択肢と言えます。
Orange Pi 5 Plus:コストパフォーマンスの王者
Orange Pi 5 Plus は Rockchip RK3588 SoC(4×A76 + 4×A55 の 8 コア構成)と Mali-G610 MP4 GPU、6 TOPS の NPU を搭載。デュアル 2.5GbE、M.2 NVMe、HDMI 入力を備えながら、8GB モデルが$100-135 と手頃な価格帯を実現しています。
Pi 5 より 70-80% 高い CPU 性能と 6 TOPS の AI 加速機能を兼ね備え、メディア処理やビジョンビルド、汎用 SBC として最適なバランスを提供します。
Radxa ROCK 5B+:最高峰の汎用性能
Radxa ROCK 5B+ も Orange Pi 5 Plus と同じ RK3588 SoC を搭載しますが、最大 32GB の LPDDR5 メモリと PCIe 3.0 x4 NVMe(1,820-2,100 MB/s)を備える点が異なります。デュアル 2.5GbE、デュアル HDMI 2.1(8K@60 + 4K@60)を完備し、Armbian の公式サポートが最も手厚いのも特徴です。
16GB モデルで$130-160 と、性能対価格比に優れ、ビジョン実験やストレージ集約、Linux デスクトップ用途で最適な選択肢です。
Jetson Orin Nano Super:エッジ AI の決定版
Jetson Orin Nano Super は 6 コア Cortex-A78AE CPU と 1024 コア Ampere GPU(32 Tensor コア)を搭載し、最大 67 TOPS(INT8 Sparse)の AI 性能を発揮します。8GB LPDDR5(102 GB/s)を備え、ビジョントランスフォーマー、大規模言語モデル(LLM)、ビジョン言語モデルをシームレスに実行可能です。
LLM 推論では Qwen2.5-7B で 21.75 tok/s、DeepSeek-R1-Distill-Qwen-1.5B で約 31 tok/s を達成し、Raspberry Pi 5(Llama 3.2 3B で 5.80 tok/s)の 3-4 倍の速度を記録しています。ロボティクス、エッジ AI、LLM 推論用途で他を圧倒する性能を提供しますが、DevKit が$249 と高価な点が課題です。
ベンチマーク比較
CPU 性能:Geekbench 6
| ボード | シングルコア | マルチコア |
|---|---|---|
| Raspberry Pi 5 | ~742 | ~1,517-1,615 |
| Jetson Orin Nano Super | 非公表 (A78AE 優位) | 非公表 (6 コア A78AE) |
| Radxa ROCK 5B+ | ~775-820 | ~2,910-3,043 |
| Orange Pi 5 Plus | ~775-820 | ~2,750-3,117 |
RK3588 搭載の ROCK 5B+ と Orange Pi 5 Plus は、Pi 5 より 80% 高いマルチコア性能を記録。8 コア構成(4×A76 + 4×A55)がマルチスレッドワークロードで効果を発揮しています。
AI 性能:INT8 TOPS
| ボード | NPU / GPU | INT8 TOPS |
|---|---|---|
| Raspberry Pi 5 | なし | 0 (CPU のみ) |
| Radxa ROCK 5B+ | Rockchip NPU 3.0 | 6 TOPS |
| Orange Pi 5 Plus | Rockchip NPU 3.0 | 6 TOPS |
| Jetson Orin Nano Super | Ampere GPU + Tensor コア | 67 TOPS (Sparse) / 33 TOPS (Dense) |
Jetson Orin Nano Super の 67 TOPS は、ROCK 5B+ や Orange Pi 5 Plus の 6 TOPS より 11 倍高い性能です。ただし、Rockchip NPU は Rockchip 固有のツールチェーンが必要で、CUDA 互換ではない点に注意が必要です。
LLM 推論性能:tok/s
| モデル (量子化) | Raspberry Pi 5 | Jetson Orin Nano Super |
|---|---|---|
| Qwen2.5-7B (INT4) | - | 21.75 tok/s |
| Llama 3.2 3B (Q4_K_M) | 5.80 tok/s | - |
| DeepSeek-R1-Distill-Qwen-1.5B (Q4) | - | ~31 tok/s |
Jetson Orin Nano Super は、7B クラスの LLM でも 20 tok/s 超の推論速度を達成し、リアルタイム対話が可能レベルです。一方、Pi 5 は 3B クラスの軽量モデルでも 5.80 tok/s と、実用には厳しい速度です。
ストレージ性能:NVMe 順次読込
| ボード | 読込速度 |
|---|---|
| Raspberry Pi 5 | 約 880 MB/s (PCIe HAT 経由) |
| Orange Pi 5 Plus | 約 1,500-1,800 MB/s (M.2 実装による) |
| Radxa ROCK 5B+ | 1,820-2,100 MB/s |
| Jetson Orin Nano Super | 外部 NVMe 依存 (PCIe 3.0 x4 相当) |
ROCK 5B+ の PCIe 3.0 x4 NVMe は、Pi 5 の PCIe 2.0 x1 より 2 倍以上高速です。大容量データの読み書きやデータベース処理で大きな差を生みます。
実ワークロード比較:Pi 5 vs ROCK 5B+
| ワークロード | Pi 5 (8GB) | Rock 5B+ (16GB) | 差 |
|---|---|---|---|
| 7-zip 圧縮 (MIPS) | 16,500 | 28,400 | +72% |
| Geekbench 6 マルチコア | 1,615 | 2,910 | +80% |
| GIMP 画像フィルタ (秒) | 33.1 | 18.3 | -45% |
| NVMe 順次読込 (MB/s) | 880 | 1,820 | +107% |
| アイドル消費電力 (W) | 2.4 | 3.2 | +33% |
| 最大消費電力 (W) | 7.1 | 9.4 | +32% |
ROCK 5B+ は Pi 5 より 70-80% 高い CPU 性能と 2 倍の NVMe 速度を達成していますが、消費電力は 30% 程度増加しています。性能対電力比では Pi 5 が優位ですが、絶対性能では ROCK 5B+ が圧倒します。
Mermaid 図解
スペック比較フローチャート(性能順)
AI 性能比較(性能順:左→右 低→高)
CPU 性能比較(性能順:左→右 低→高)
価格対性能比較(Geekbench 6 / ドル)
注:価格は 8GB (Pi 5 $80)、8GB (OPi 5 Plus $135)、16GB (ROCK 5B+ $160)、8GB (Orin Nano Super $249) で計算
価格対性能比較
Geekbench 6 マルチコア / ドル
| ボード | マルチコアスコア | 価格 (8GB/16GB) | Score / ドル |
|---|---|---|---|
| Raspberry Pi 5 | 1,615 | $80 | 20.2 |
| Orange Pi 5 Plus | 3,117 | $135 | 23.1 |
| Radxa ROCK 5B+ | 2,910 | $160 | 18.2 |
| Jetson Orin Nano Super | 2,800 (推定) | $249 | 11.2 |
コストパフォーマンスでは Orange Pi 5 Plus が 23.1 Score/ドルでトップ、次いで Pi 5 の 20.2、ROCK 5B+ の 18.2 と続きます。Jetson Orin Nano Super は 11.2 と半分以下ですが、67 TOPS の AI 性能を考慮すると妥当な価格と言えます。
用途別おすすめボード
エッジ AI・LLM 推論用途
Jetson Orin Nano Super が唯一の選択肢です。67 TOPS の AI 性能と CUDA/Tensor コア、NVIDIA JetPack エコシステムにより、ビジョントランスフォーマー、LLM、ビジョン言語モデルをリアルタイムで実行可能です。
- 67 TOPS の AI 性能と 1024 コア Ampere GPU が必要な場合
- LLM やビジョントランスフォーマーのエッジ推論を行う場合
- NVIDIA JetPack エコシステムとロボット開発ツールを活用する場合
- Pi 5 の 3-4 倍の LLM 推論速度が必要な場合
汎用 Linux デスクトップ・ストレージ集約
Radxa ROCK 5B+ が最適です。最大 32GB の LPDDR5 メモリと PCIe 3.0 x4 NVMe(1,820-2,100 MB/s)、デュアル 2.5GbE を備え、Armbian の公式サポートが最も手厚い点も魅力です。
- 最大 32GB の LPDDR5 メモリと PCIe 3.0 x4 NVMe が必要な場合
- Armbian などメインライン Linux のサポートを重視する場合
- デュアル 2.5GbE と 8K 出力が必要な場合
- Pi 5 より 70-80% 高い CPU 性能と 2 倍の NVMe 速度が必要な場合
コストパフォーマンス重視・ホビープロジェクト
Orange Pi 5 Plus が最もバランスに優れます。RK3588 の 8 コア CPU、6 TOPS NPU、デュアル 2.5GbE、M.2 NVMe、HDMI 入力を備えながら、8GB モデルが$100-135 と手頃です。
- コストパフォーマンスを最優先する場合
- 汎用 SBC としてメディア処理やビジョンビルドを行う場合
- デュアル 2.5GbE と M.2 NVMe が必要な場合
- HDMI 入力機能が必要な場合
教育・ホビー・ソフトウェアエコシステム重視
Raspberry Pi 5 が依然として最強の選択肢です。最も成熟したソフトウェアエコシステムとコミュニティサポート、Wi-Fi/Bluetooth 内蔵、公式 OS(Raspberry Pi OS)と多数のライブラリを活用できます。
- 最も成熟したソフトウェアエコシステムとコミュニティサポートが必要な場合
- 教育・ホビー・汎用 Linux 用途でコストを抑えたい場合
- Wi-Fi/Bluetooth 内蔵で追加ハードウェア不要な場合
- 公式 OS (Raspberry Pi OS) と多数のライブラリを活用したい場合
注意点と購入時のアドバイス
Jetson Orin Nano Super の注意点
- 67 TOPS 性能は JetPack 6.2 以降のファームウェア更新で有効化されるため、購入時にバージョン確認が必要
- DevKit が$249 と高価で、2026 年現在も入手困難な場合がある
- 消費電力が 7-25W と他ボードより高く、電源設計に注意が必要
ROCK 5B+ と Orange Pi 5 Plus の注意点
- NPU は Rockchip 固有のツールチェーン(rknn-toolkit2 など)が必要で、CUDA 互換ではない
- Armbian や Ubuntu のサポートは進んでいるが、Pi 5 ほどの成熟度ではない
- 価格と在庫状況は 2026 年現在変動が大きく、特に 16GB/32GB モデルは入手困難な場合がある
Raspberry Pi 5 の注意点
- AI 加速機能を持たず、LLM 推論は CPU のみで 5.80 tok/s (Llama 3.2 3B) と実用には厳しい
- PCIe は 2.0 x1 (HAT 経由) で、ROCK 5B+ の PCIe 3.0 x4 より 2 倍以上遅い
- 2026 年現在、4GB モデルが¥12,000 超に値上げされており、コストパフォーマンスが低下
まとめ
2026 年現在の SBC 市場では、用途に応じて最適なボードが明確に分かれています。
- エッジ AI・LLM 推論:Jetson Orin Nano Super(67 TOPS、CUDA/Tensor コア)が唯一の選択肢
- 汎用 Linux デスクトップ・ストレージ集約:Radxa ROCK 5B+(32GB LPDDR5、PCIe 3.0 x4 NVMe)が最適
- コストパフォーマンス重視・ホビー:Orange Pi 5 Plus(RK3588、6 TOPS NPU、$100-135)がバランス優秀
- 教育・ホビー・ソフトウェアエコシステム:Raspberry Pi 5(成熟した OS/ライブラリ、Wi-Fi/BT 内蔵)が依然最強
予算と用途を明確にした上で、本記事のベンチマークデータと選定ガイドを参考に、最適な SBC を選択してください。